4冊目はデール・カーネギーのHow to Win Friends and Influence People「人を動かす」です。この本の初版は1936年に出版されました。次に取り上げる予定のナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」の1年前に出版された自己啓発本初期の代表作であり、世界中で翻訳され発行部数は千五百万部を超えると言われおり、同時期に出版された「思考は現実化する」と並んで成功哲学本と自己啓発本の二大名著だとのことです。あいにくこれまで読んだことがなかったのでごく最近初めて読んでみました。私が読んだのは創元社から2016年に発行された文庫版です。
この本では以下の4つのパートにそれぞれいくつかの原則が語られており、著者はたくさんの実話を挙げてわかりやすくまとめています。人生を成功に導くための対人関係に絞ったノウハウの数々であり、スピリチュアルと最新科学仮説から読み解くというよりも、単純にこれらの原則を心に留めておくことだと思います。あえて言うならば、相手にポジティブな思考とポジティブな感情を抱かせることに尽きると思います。裏返せば自分がポジティブな意識状態でなければならないということです。デール・カーネギーには「道は開ける」というもう一冊の大ベストセラーがありますが、悩みの克服法について語られているようですが、まだ読んでいません。
以下に見出しだけ引用しましたが、これだけ見ればどんなノウハウかはほとんどわかってしまうと思います。重要なポイントを太字にしてみました。
1.人を動かす大原則
①盗人にも五分の理を認める:批判も非難もしない。苦情も言わない。
②重要感を持たせる:率直で、誠実な評価を与える。
③人の立場に身を置く:強い欲求を起こさせる。
2.人に好かれる六原則
①誠実な関心を寄せる
②笑顔を忘れない:笑顔で接する
③名前を覚える:名前は当人にとって最も快い最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない
④聞き手にまわる
⑤関心のありかを見抜く:相手の関心を見抜いて話題にする
⑥心からほめる:重要感を与える、誠意をこめて
3.人を説得する十二原則
①議論を避ける:議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける
②誤りを指摘しない:相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
③誤りを認める:自分の誤りを直ちに快く認める
④穏やかに話す
⑤”イエス”と答えられる問題を選ぶ:相手が即座に”イエス”と答える問題を選ぶ
⑥しゃべらせる:相手にしゃべらせる
⑦思いつかせる:相手に思いつかせる
⑧人の身になる
⑨同情を寄せる:相手の考えや希望に対して同情をよせる
⑩美しい心情に呼びかける:人の美しい心情に呼びかける
⑪演出を考える
⑫対抗意識を刺激する
4.人を変える九原則
①まずほめる
②遠まわしに注意を与える
③自分の過ちを話す:まず自分の誤りを話したあと相手に注意する
④命令をしない:命令をせず、意見を求める
⑤顔をつぶさない:顔を立てる
⑥わずかなことでもほめる:わずかなことでも惜しみなく心からほめる
⑦期待をかける
⑧激励する:激励して、能力に自信を持たせる
⑨喜んで協力させる
人間関係については、後日読み解く予定のコヴィー博士の「7つの習慣」の方が詳しいし、より真理(原則・法則)に基づいていると思います。ポジティブな自分の意識が相手にも伝わり、ポジティブな結果を引き寄せるということを具体的なノウハウとして簡潔にまとめられていますが、実例はあっても、その根拠と原理についてはあまり語られていません。それでも信じられて実践できる人ならばよいのですが、私はこれらの原則(ノウハウ)は理解できても、どうしてそうなのか?という根拠と原理を理解できないと腑に落ちないし、心底信じられて自分の信念にはならないのではないかと思います。やはり根拠と原理(真理)は自分で考えて気づくものだと思います。