5冊目はナポレオン・ヒルのThe Think and Grow Rich「思考は現実化する」です。この本は1937年に発行されました。私が読んだのはきこ書房から1999年に発行された「(新装版)思考は現実化する」です。成功哲学本初期の代表作で、世界中で千五百万部以上販売されたそうですので、読まれた方も多いと思います。鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーの勧めでナポレオン・ヒルが20年の歳月をかけて完成させた「成功の法則(八巻)」を凝縮してまとめたものと言われています。前に取り上げた「原因と結果の法則」、「富を引き寄せる科学的法則」、「イット・ワークス」の三冊に比べて600ページ以上もあるとても長文で分厚い本です。それでは全18章を各章毎に私なりに読み解いてみたいと思います。
- 第1章 思考は現実化しようとする衝動を秘めている
- 第2章 願望の設定はあらゆるものの達成の出発点である
- 第3章 信念は願望実現の原動力である
- 第4章 深層自己説得を活用する
- 第5章 個人的経験と観察力を高める
- 第6章 脳の中に浮かぶ森羅万象の世界を活用せよ
- 第7章 体系的な行動計画を立てる
- 第8章 速やかに決断せよ
- 第9章 忍耐力を身に着ける
- 第10章 マスターマインドの力
- 第11章 モティベーションを生み出す魔法のアイディア
- 第12章 潜在意識は海面下の王国である
- 第13章 頭脳は宇宙が宿る小さな器である
- 第14章 第六感は英知の殿堂への扉を開く
- 第15章 強烈な本能を創造的なものに転換せよ
- 第16章 失敗も生き物である
- 第17章 悲しみを通して魂に至れ
- 第18章 不安という名の七つの亡霊
- 個人感想
第1章 思考は現実化しようとする衝動を秘めている
最初にエジソンの共同事業者となったエドウィン・C・バーンズを「あたなが真底そうしようと望んだことは必ず実現する」ということの例としてあげています。
思考というものは、一つの実体、しかもその思考内容そのものを現実化しようとする衝動を秘めている実体、といってもよい。それは強大なエネルギーを持っている。それゆえ、思考が明確な目標、忍耐力、あるいは強い願望とあいまって成功に向かって作用し始めるとき、思考は強烈な実体になる。こうして、人間は自分が考えているような人間になるのである。
最初にこの文章を読んで心底信じられる人はどのくらいいるのでしょうか? 思考が本当に実体になるなんてことを知っている人や、そう信じられる人はいるのでしょうか? 一歩間違えばオカルト的にも受け止められてしまうと思います。科学で実証されていないことは信じられない人が多いのではないでしょうか? 私にとってはこの本が最初の成功哲学本だったと思います。ちょうど外資系企業を退職して最初に独立した頃だったと思います。それまではマーケティングやマネジメント関係が中心のいわゆるビジネス書ばかりを読んでました。ビジネスでは目標設定して実行計画を立て進捗をチェックして修正しながら目標を達成することが基本です。思考とは目標設定と言い換えても良いかもしれないなくらいの感覚で受け止めていたと思います。もし本当に思考が現実化するなら、その根拠や原理を知りたいと思いました。
今では「原因と結果の法則」でアレンが語ったことに、「富を引き寄せる科学的法則」でワトルズが語ったことを足したような内容だと思っています。ナポレオン・ヒルの特徴はたくさんの実例をあげて詳細に説明していることです。そして最新の科学仮説とも共通することも多く語っていることも特徴です。思考はエネルギーでありエネルギーは物質化します。めぐらせた思考(原因)とそれが引き寄せた現実(結果)は良し悪しにかかわらず自動的に潜在意識に記録・蓄積されています。新たな思考は潜在意識の同種の思考と反応し同じ行動を促します。そして同じような結果を引き寄せます。望むことを引き寄せるには、心底そうしようと望んだり、明確な目標に忍耐力と強い願望を抱けばいいのでしょうか? やはり多くの人はその根拠や原理が腑に落ちないと信じられないと思います。
不動の信念に支えられて、願望(目標)を最後まで追求する、という強い意欲(モティベーション)が、あなたの人生を大きく左右することを心にとめておくこと。そしてまた、このような脳力は誰もが持っている、ということも。
ここに「不動の信念」とありますが、以前はよく理解していなかったと思います。信念とは正しいと信じる自分の考えのことですが、その正しいと信じる何かはどうやって作られたのでしょうか? 両親や家族から、学校教育から、社会やメディアなどから長年にわたって得てきた情報の蓄積が潜在意識にあり、自ら深く考えたわけではなく、ただ何となくそうなのだろうといった世間一般常識的なものがほとんどではないでしょうか。私はそうでした。他者の考えだろうと、自分の考えだろうと、潜在意識にある各個人の信念(私は自己バイアスといいます)は顕在意識へ無意識のうちにその信念の判断を押しつけてきます。そしてこの世は相対なので、必ず対極があります。願望は未だ実現していないから願望であり、いくら強い意欲があったとしても、無意識のうちに未だ実現していないという事実も同時に潜在意識に生まれています。いくら思考(顕在意識)で願望を意識しても、潜在意識の信念に対極の現実化していないというものがあれば、どちらが実現するかわかりません。ではどうしたらよいのでしょうか?
チャンスは姿を隠してやってくる。(中略)願望実現というのは、このように当初の願望とは異なった結果として実現することがよくある。そしてこれこそチャンスに特有のトリックなのである。チャンスはいつも意外なところからやってくるという皮肉な習性がある。チャンスはまた、不運とか一時的な敗北の影に隠れてやってきたりもする。したがって人々はこのチャンスを見逃してしまうことも多いのである。
チャンスをつかめば実現の可能性が高まります。でもチャンスは私たちが想像したものとは異なるものであることが多いと語られています。そのため気がつかず逃してしまうことが多いとも語ります。チャンスは天の采配によってもたらされると思います。私たちの潜在意識はアカシックという宇宙のデータベースに保管されており、そこには他者の潜在意識をはじめ宇宙の存在すべてが情報として保管されています。私たちが顕在意識で願望を思考すると同時にアカシックに保管されている同種の情報と反応するかもしれませんが、対極の潜在意識の方が反応するかもしれません。アカシックのどの情報と反応するかは私たちにはわからないものなのです。ただ現実はすべて自分の意識(顕在と潜在の両方のどちらか)がアカシックの情報と反応して引き寄せたものなので、その引き寄せた現実がチャンスかどうかわからなくてもただ受け入れ、その時の感情がポジティブかネガティブかによって自由意志の力を働かせて次の選択(思考)をするしかないと今は考えています。
500人以上にのぼる成功者が口をそろえて私に語ったこと、それは、大きな成功というものは人々が敗北感に屈してしばらく経ったときにやってくるものである、ということだ。(中略)成功は成功を確信する人のもとに訪れる。少しでも失敗を意識すれば失敗する。本書は、失敗の恐怖にとりつかれている人々に、成功への確信を与えることを目的に著わされたものである。多くの人々は、自分勝手な考え方や固定観念でものごとを評価したり決定したりするという欠点を持っている。
ゴールドラッシュの時にあとわずか91cmのところに金鉱があったのに諦めてしまった話と、黒人の小作人の少女が農園主の白人に50セントを貰いにきて断られても諦めずに50セントが貰えた話が語られ、諦めないことの重要性を説いています。たとえ失敗、挫折、敗北などの現実を引き寄せてしまっても、そこで諦めしまうのではなく、成功を信じて継続することが成功を引き寄せる唯一の方法だということを説くためにこの本を書いたということのようです。多くの人が持っているという「欠点」は、不可能という言葉に慣れすぎているということだそうです。
心の中で明確に思い浮かべることはすべて現実のものとなるという真理が、確信できるようになるだろう。これは決しておまじないでも何でもないのだ。この世に働く現実の法則なのである。
思考は現実化するは真理であり、この世の法則とのことです。ではその根拠と原理を知りたいと思いました。
第2章 願望の設定はあらゆるものの達成の出発点である
この章ではバーンズの例に加えていくつかの例を元に最初に願望設定することの重要性を語っています。そしてこの本全体を通して基礎となる考え方である以下の6カ条を紹介しています。
アンドリュー・カーネギーから伝えられた「願望実現のための6カ条」
- あなたが実現したいと思う願望を「はっきり」させること。単にお金がたくさん欲しいなどというような願望設定は、まったく無意味なことである。
- 実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりに何を”差し出す”のか決めること。この世界は、代償を必要としない報酬など存在しない。
- あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
- 願望実現のための詳細な計画を立てること。そしてまだその準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。
- 実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を紙に詳しく書くこと。
- 紙に書いたこの宣言を、1日に2回、起床直後と就寝前に、なるべく大きな声で読むこと。このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に信じ込ませることが大切である。
まさに前三冊の内容を合わせたような6カ条です。カーネギーはワトルズの本を読んだのでしょうか?それともヒルがワトルズの本から影響を受けたのでしょうか?
自分が望むことを実現するためには、顕在意識で具体的に詳細に思考し、潜在意識に浸透するように紙に書いたり、何度も読み返したり、そのために何を代償とするか(自己犠牲)を決めるということであり、これぞ成功哲学の神髄だと思います。そして願望が実現したことをイメージして潜在意識に信じ込ませるということまで加えられました。それは、潜在意識の中に同種の願望が実現した記録が必要だからです。潜在意識はこの世で実際に起こった事実の記録も、ただ想像し脳内で作られたイメージもただ情報として記録されるからです。しかし、この実現したイメージを本当にあったかのように鮮明描くことはなかなか難しいことだと思います。
第3章 信念は願望実現の原動力である
この章ではUSスチールを作ったチャールズ・M・シュワブの話を例に挙げて信念について語っています。
「信念」と「思考」が重ね合わさると、潜在意識が活性化され、そこからモティベーションと限りない知性が生まれる。(中略)信念というものは、願望という、形をもたない一種の思考を、物理的な実体あるいは現象的事実に転換するのである。すなわち信念によって、思考は紛れもなく現実化するのだ。
(要約)
はじめに「~したい」という意欲(意図)を持ち、潜在意識に繰り返し浸透させると信念が育つ。信念は行動に反映され、感情を伴った思考と強い信念が結びつくと物理的な実体となる。願望がすでに実現しているイメージを潜在意識に浸透させれば信念はますます強化される。願望実現の過程も紙に書き、修正しながら、実現までのプロセスと結果を鮮明にイメージする。
信念は自己バイアス(私が信じている真理のページをご参照ください。)のことであり、無意識のうちに行動を促します。思考と感情という意識(顕在意識)は「引き寄せの法則」により潜在意識の同種の自己バイアスと反応し現実化しようとします。顕在意識の願望を実現させるためには、潜在意識の中に願望は実現するという同種の自己バイアスの記録が必要なので、願望が実現しているイメージを潜在意識に送り続けることが重要であるということだと思います。
行動は、あなたの心の中に意識的、あるいは無意識的に植え込んで育んだ思考に、さまざまな感情が混じって決定されるのだ。ここで一つの真理をお伝えしよう。「感情と結びついた思考は、似たような思考を引き寄せる磁石となる。」
行動は自己バイアスによるオートパイロット(私が信じている真理のページをご参照ください。)で促されます。自己バイアスは思考と感情という過去の意識の蓄積です。感情もエネルギーの一種であり、その感情を抱いた時の思考と一緒に潜在意識に記録されています。外界からの新たな五感への入力に対して良い感情か悪い感情を持つことは、過去に記録された同種のものと瞬時に反応しているからであり、その直後にその時に結びついた思考も生まれるのだと思います。強い感情を伴った過去の経験は自分自身に起こった出来事でありエピソード記憶と言われ強いエネルギーをもっているので、そのエネルギーと反応する思考は引き寄せる力も強いのだと思います。
潜在意識は肯定的な思考と、否定的な思考を区別することができない。
それは潜在意識はポジティブなこともネガティブなこともすべてをただ情報として記録しているだけだからです。潜在意識は判断しません。ネガティブな感情を抱くということは今の思考がネガティブだということです。「願望は実現する」という信念をじゃまするものは不安と恐怖と自信の欠如というネガティブな感情です。著者は自信の欠如を勇気に変える大自然の法則を「自信を育む公式」として紹介してくれています。それはいわゆるアファメーションの一つであり、潜在意識のネガティブな記録をポジティブな記録に書き替えるワークです。しかし私は書き替えることは難しい気がするのでポジティブな記録を増やして占有率を高めるということではないかと思います。
第4章 深層自己説得を活用する
深層自己説得は原著では「自己暗示」だったそうです。ようするに潜在意識への刷り込みのことです。潜在意識は善悪などを判断しません。ただすべてを情報として記録しているだけです。無意識に思考したネガティブなこと(顕在意識では気づいていない)もすべて記録されてしまいます。そして新たな刺激に対して記録の中の同種のものと自動的に反応します(オートパイロット)。
確信(信念)によって感情移入されたイメージや思考や言葉が必要である。
潜在意識を望むものに書き替えるとよく言われていますが、書き換えることは出来ないと思います。ネガティブな記録も必ず消えずに残っているので、書き換えるのではなく、ポジティブでエネルギーの高い記録(願望が実現したこと等)を顕在意識から潜在意識に送り込みネガティブな記録の占有率を下げることだと思います。そのために効果的だと語っているのが、エネルギーが高いと思われる感情を伴ったイメージや思考や言葉だということです。潜在意識は現実の事象も思考で作られた想像も区別なく情報として記録するからです。たった1割以下の顕在意識でこれまでに蓄積された9割以上を占める潜在意識の中のネガティブな記録をポジティブな記録が上回るようにするためには強力なエネルギーが必要であり、繰り返しの自己暗示が必要なのだと思います。
人間が自分の運命の支配者であるのは、自分の潜在意識をコントロールする力をもっているからなのである。(中略)深層自己説得が富を生み出すのではない。それによって刺激を受けた潜在意識が富を生み出すのである。
願望を実現させるのは顕在意識ではなく、潜在意識であり、自己暗示によって潜在意識をコントロールする(ポジティブな記録を増やす)ことができるだけですので、これが唯一人間に備わった運命をを変える手段であるということだと思います。
第5章 個人的経験と観察力を高める
ヘンリー・フォードなどの例を挙げて、必要な知識を得る方法とそれを活かす想像力の重要性を説いています。現在ではインターネットを経由してあらゆる知識を簡単に得ることができるようになりました。さらに対話型AIの登場により、ネット端末一つあれば必要な専門知識を体系化することも出来ます。もう自分の想像力さえあればよいのですが、想像力はみずからの努力によってのみ得られるものだと思います。真理を探究し、心底理解し、腑に落とし、確信(信念)を持って、自己啓発本や成功哲学本が語るノウハウを実践するしかないと思います。自己啓発本と成功哲学本は長年経て多くの読者に読まれていることから、そのノウハウ自体は一定の効果があると思います。願望が実現したイメージを想像力で潜在意識へ送り込むことが重要だということは理解しますが、実際はとても難しいことだと感じています。
第6章 脳の中に浮かぶ森羅万象の世界を活用せよ
人間が想像できるものは、必ず実現できると言われている。
想像力には改良的想像力(既知の知見の組み合わせ)と独創的想像力(無限の英知から得られるもの)の二つの型があるとのこと。これはワトルズが語った既にこの世にあるものの組み合わせで新しいものを創造することと、「神とともに働く」ことつまり天の采配(私が信じている真理のページをご参照ください。)を頂くことと同じことだと思いました。
アイデアは、想像力によって生み出される。
コカ・コーラ、イリノイ工科大学、そして自身のことを例に挙げて、アイデアの重要性を説いています。「大自然の法則」とは何なのかイマイチよくわかりませんが、アイデア、ヒラメキ、インスピレーション、は集合的無意識に記録された他人の記録も含めたすべての情報から天の采配によって引き寄せられるのだと思います。いわゆる「降りて来た」「神(天)の声が聞こえた」などと言われることだと思います。人間に備わった五感以外の受信(入力)装置が受信するのでしょうか?、脳の中に浮かぶ森羅万象の世界とは、集合的無意識を含むアカシック(私が信じている真理のページをご参照ください。)のことだと思いました。
第7章 体系的な行動計画を立てる
さてこの章から11章までは、願望実現のための具体的で詳細なノウハウを多くの例を交えての話になります。まずアイデアを具現化するためには計画を立てる。マスターマインド(協力者)を得る。成功するまで諦めず失敗したら計画を立て直す。失敗の原因を取り除く。自らがリーダーとなる。自己実現のためには何をするか決めて、自分は何ができるかをはっきりさせる。成功の黄金律(自分がして欲しいことをまず他人にする)。要するにマネジメント(管理)を加えると言うことだと思います。これらのことは後日読み解く予定のコヴィー博士の「7つの習慣」の方が詳しいし、より真理(原則・法則)に基づいていると思います。
第8章 速やかに決断せよ
失敗の最大の原因は決断力の欠如と優柔不断であり、また決断を変更するときは十分に時間をかけて検討するということが語られています。
第9章 忍耐力を身に着ける
忍耐力は意志の力と願望が結びついた時に生まれる。忍耐力がなければ失敗で諦めてしまい本当に失敗する。目標や願望に集中し、その鮮明なイメージを心に浮かべれば忍耐力を強化できる。それを習慣にすれば忍耐力はさらに強化される。
そして、忍耐力を身につける4つのステップとして以下が挙げられています。
①燃えるような熱意に支えられた明確な願望や目標をもつこと。
②明確な計画を立て、それを着実に実行していくこと。
③親戚、友人、周囲の人たちの否定的な、あるいは意気消沈させるような意見をきっぱりと拒絶すること。
④目標と計画に賛成し、激励してくれるような人を1人、あるいはそれ以上を友人とすること(マスターマインド)。
『失敗や逆境の中には、すべてそれ相応かそれ以上の大きな利益の種子が含まれている』、『プラスアルファの魔法』、『エンスージアズム(熱意)』というナポレオン・ヒルのプログラムに登場する主要概念の説明もあります。
第10章 マスターマインドの力
マスターマインドというのは、このような二人以上の、何らかの願望や目標を持った人間の集まりのことであり、また、それらの人々の間で行き交う、波長の合った思考のバイブレーションのことである。
またアルバート・アインシュタインの話を出して素粒子についても語られています。物質はすべてある種のエネルギーの振動であり、違いは周波数だけであるとまで書かれています。そして思考も意識もエネルギーの振動であり、身体の外へ電波のようなものとなって出ていって、私たちの五感に感じ取れないまま地球の周りを漂っているのではないか?という仮説を持っているとのこと。人の心も周波数が合えばマスターマインドとなり1+1が2ではなく5にも6にもなると。そして「無限の知性」(アカシック)からアイデアを得ることもできると。正直、今回読み返してみて驚きましたが、以前読んだ時にこの部分にも自分で傍線を引いていたのですが、こんなことが書かれていたことを完全に忘れていました。他の多くの実例と同じ程度のものとしか思えなかったのだと思います。今から80年以上も前にナポレオン・ヒルはアインシュタインの一般相対性理論や量子力学を引用して思考のエネルギーについて語っていました。ただこの科学の理論がこの章にしか例として語られていないので、思考は現実化することの真理とまでは考えていなかったのではないかとも思います。
第11章 モティベーションを生み出す魔法のアイディア
「プラスアルファの魔法」と名付けて、好きな仕事であれば報酬以上のサービスをすることができ、後から必ずその報酬以上のものを得られると語っています。与えられた仕事以上の仕事をするにはモチベーションが必要ですが、性善説にたった「内発的モチベーション理論」を説明していますが、私にはよく理解できませんでした。
様々な例を挙げていますが、要するになにごとにも対価を考慮せずベストをつくせということですかね。ベストを尽くせば必ずそれに見合った報酬がいずれ得られることを強調しています。ポジティブな思考と行動が原因となり、ポジティブな結果が得られるということだと思います。ワトルズが語った「受け取る以上のものを与えなさい」からヒントを得たのかもしれません。
第12章 潜在意識は海面下の王国である
人間の五感を通じて意識に到達した情報は、分類されて潜在意識に記録される。
すべての印象や考えを無差別に受け入れ、ファイルしてしまう。
ナポレオン・ヒルはスピリチュアルや最新科学の仮説が語っていることと同じようなことを繰り返し語っています。これはまさにアカシックレコードやゼロ・ポイント・フィールドのことです。最初に読んだ時はスピリチュアルや最新科学の仮説で語られていることを知らなかったのでピンとこなかったのですが、今回読み直してみて初めて気づきました。
信念のような強い感情と結びついた目標や願望については、とりわけ鋭敏にこれに反応するという特徴を持っている
「信念」は自分が心底信じていることです(自己バイアス)。私は「引き寄せの法則」が真理であるとようやく信じられるようになりました。そして「強い感情」は高いエネルギーがあるので引き寄せの力も強いことも理解できます。
人間が知ることのできない方法によって、「無限の知性」ともつながりをつけることができる
「無限の知性」とはアカシックのことで、アカシックには宇宙すべての情報が記録されており、自分自身の思考・感情・経験だけではなく他者のもの(集合的無意識)も含まれるので、アカシックに繋がることができれば、ナポレオン・ヒルの言うところの「無限の知性」からアイデアやヒラメキが降りてくる(または天の声が聞こえる)ことができるのですが、その繋がり方がわかりませんでした。人間が知ることのできない方法とのことですので永遠にわかりませんね?。方法はわからなくても信念を抱けということですが、そう言われても根拠を理解し腑に落ちなければ精神論と根性論的には長続きしません。ワトルズは「富を引き寄せる科学的法則」で「確実な方法」に従って行動することと語っています。
潜在意識は、それが習慣となって初めて、想うように動かしていくことができるものだからだ。
潜在意識を自由自在に機能させるためには、すべての成功原則を総合し、適用しなければならないのだ。
潜在意識を直接コントロールすることはできないので、顕在意識でポジティブな思考と感情を抱き続けることを「習慣」としなければならないということだと思います。そのためにはナポレオン・ヒルの成功法則(ノウハウ)すべてを実行し続けることだと言うことですが、今ではそれらが確かに有効な方法であると理解できますが、やはり自分自身で真理が腑に落ちない状態で、ただ盲目的にノウハウを実行し続けることは難しいと思いますので、真理を自分なりに理解することが先決だと思います。
潜在意識に理解可能なその特別な言語とは、「感情」のことである。
積極的な感情と消極的な感情は、同時に一つの心を支配させることはできない。
潜在意識(アカシック)が理解可能な言語(繋がる方法)は「感情」だとも語っています。感情は単なる思考よりもエネルギーが高いのかもしれません。確かにある出来事が起こった時に良いか悪いかどちらかの感情を瞬時に、先に感じ(意識し)ます。思考はその後に意識されます。しかしそれは外界からの刺激に対して、潜在意識に記録された同種のエネルギーをもつものと反応した結果であり、ネガティブな感情を自動的に抱いてしまうのであれば、その感情を反転させなければ望む結果を得ることができないと思います。
「無限の知性」と通信する方法は、音声が電波によって通信されるのとまったく同じである。
高い周波数の振動に変調されて通信される。
またアカシックと繋がる方法はチューニングを合わせる(同調する)ことだと、そのためには高い周波数(高いエネルギー)に変調することだと、つまり(真理を悟った)信念と結びついた強い感情を伴った思考(自由意志)のことであるということで、ナポレオン・ヒルがこの本で語っていることの最重要ポイントだと思います。信念(自己バイアス)に真理を記録しな(心底信じな)ければなりません。
第13章 頭脳は宇宙が宿る小さな器である
人間の脳は思考の振動の送受信局だということに気付いた。
他人の頭脳から発する振動を受信する脳力を持っている(創造的想像力)。
思考の振動は、感情によって増幅されるものだ。
頭脳の回転が速くなれば、他人の頭脳から発信されたものを受信するだけではなく、他人の潜在意識とさえ直接に交信できるようになる。
潜在意識と創造的想像力と深層自己説得(自己暗示)の三つを応用するだけでよいのだ。
大脳生理学のことを引き合いに出し、さらに自分の考えを加えて、ブレーン・ストーミングの効果を語っています。ブレーン・ストーミングとは、明確な目標に対して心を一つにまとめ、調和を保ちながら意見を述べ合うことで、知恵が湧いてくるとのこと。
思考の振動を感情で増幅し、さらに脳の回転を上げれば(高い周波数=高いエネルギーにすれば)他人の脳と交信できるので、ブレーン・ストーミング(三人寄れば文殊の知恵)が可能となると。確かにそうだなと思えるようになりました。高いエネルギーの顕在意識(思考と感情)であれば、アカシック内で引き寄せたいエネルギーと同調しやすいということだと思います。
第14章 第六感は英知の殿堂への扉を開く
第六感は、成功哲学の頂点となるものである。また第六感は、成功の原理をマスターして初めて体得し、理解し、活用することができるものである。
第六感は、無限の知性、個人の潜在意識、他人の潜在意識、独創的想像力から生じる。
つまり第六感は「思考は現実化する」の真理を理解し心底信じられなければならないし、アカシックと繋がって「天の啓示」、自己の潜在意識、そして集合的無意識からの奇跡的なインスピレーションや勘(アイデア)として与えられるものであるとのこと。顕在意識のエネルギーを高めることで、アカシックからアイデアを引き寄せやすくなるということです。「人間の脳は思考の振動の送受信局」であると前章で語っており、それは間脳の松果体のことでしょうか?
頭脳の働きが刺激によって高められると、(中略)思考の限界が取り外されて、無限大に解放されるのである。
松果体を刺激してアカシックと同調するには、高エネルギーの信念と結びついた強い感情を伴った思考をすることではないかと思いました。
人間は、五感以外の器官を通してさまざまな情報を受け取っている、それを受け取るときは精神状態が格別に活性化されているときである、感情を興奮させ、心臓の鼓動を速めさせているときに第六感が呼び起こされる。
非常事態の時に無意識にとっさの行動がとれるのは第六感が緊急出動してくれたからであり、脳のどこかにそれをキャッチする装置があるのだが科学ではまだ解明されていないとも語られております。人間各個人の五感と脳では認識できない情報(エネルギー)は無限にあり、緊急時の第六感はまさに天の導きによるものだと思います。そのメカニズムはまだわかっていません。
第15章 強烈な本能を創造的なものに転換せよ
ナポレオン・ヒルは性衝動(本能)は心のさまざまな働きの中の一つであり、本質的には肉体的なものではあるが、精神的なものでもあると語っています。また性欲は人間の欲望の中で最も強いものであり、その強力なエネルギーを強い意欲によって他のもの(願望実現や目標達成)に転換させることができた人が成功者となるとのこと。
そして、その転換方法は11章から14章に述べたことであると。また40歳まではその転換がうまくできず、50歳を過ぎてから出来るようになると。愛と性の感情が調和し、女性を喜ばせたいという願望から富や地位や名声を得ようとするとのこと。
まさに「英雄色を好む」ですかね。正直、性欲を願望実現のエネルギーに変換する具体的な方法がわかりません。11章から14章で語らていたことは、要するにアカシックと繋がってインスピレーションを得ると言うことであり、そのためには信念と強い感情を伴った思考でエネルギーを高め、高い周波数でアカシックと同調することです。肉体的な性衝動を、精神的や物質的なことで女性を喜ばせたいという愛のエネルギーに変換するということでしょうか?私にはまだ出来そうにありません・・・
第16章 失敗も生き物である
どんな失敗にもそれに見合った利益の種子が含まれているという、深い真理に行き当たるはずである。
失敗に対して思いのままに反応する特権と術をもっているのだ。
失敗として受けとめないかぎり、失敗はこの世にはないことがわかるはずだ。
勝利者は断じてあきらめない。あきらめる者に勝利はない。
失敗のない人生なんて有り得ません。失敗した時はもちろん落ち込みます。そのネガティブな思考と感情はアカシックにしっかりと記録されます。そして次に同じような状況になった時に、また同じような思考と感情になり、不安になります。そして、ネガティブなスパイラルは続いてしまいます。
その時に顕在意識でその状況を認識し、同じ反応をせずに自由意志でポジティブな思考をすることが出来るかどうかです。
私も同じような失敗(挫折、逃避)を何度も経験しています。まだ断ち切れていません。ただ今現在は自分なりに真理が腑に落ちた気がしているので、「原因と結果の法則」と「思考は現実化する」(つまり「引き寄せの法則」)の教えが本当にそうなのだと思えるようになったので、改めて成功哲学のノウハウを実践してみようと考えています。さてどうなることやら?
第17章 悲しみを通して魂に至れ
悲しみは愛情に似ている。
悲しみも失敗と同じように、恩恵になるか災いになるかは自分の反応次第なのである。
どんな悲しいことも、それに見合う喜びの種子を連れてくるのだ。
長い人生には悲しいこともたくさんありますよね。当然、その時の思考と感情はアカシックに記録されます。その悲しい出来事を思い出せば、その時と同じ感情も湧いてきますが、どうでしょうか、だんだんと悲しみは弱まっていませんか?
私はトラウマになっているほどの悲しい出来事がないのかもしれません。確かに別れへの悲しみは徐々に愛情のような感情に変わっていくのかもしれません。
第18章 不安という名の七つの亡霊
優柔不断と疑惑が統合すると、不安というモンスターになるのだ。
貧困、批判、病気、失恋、不自由、老い、死の7つの基本的な不安。
物質とエネルギーは変化させることはできても、消滅はしないのだ。
人生とはエネルギーである。エネルギーも物質も消滅しないものだとしたら、生命もまた、他のエネルギーと同様、不滅である。他のエネルギーに変化するだけなのだ。死とは、単なる変化にすぎない。
伝染性否定思考はあなたの潜在意識の中に食い込んでいるため、それらを駆除することは非常に難しい。そこで、すべての破壊的な思考をあらゆる方法で徹底的に心の中から追い出す作戦を開始しなければならない。
全人類が持っている最大の弱点は、他人からのマイナスの影響に対して、自分の心を開け放しておくことである。
あなたが心をコントロールするのか、心があなたをコントロールするのか、そのどちらかなのだ。
自己分析をして自分の弱点を知り、意志の力で自分の心の中に免疫を作れと語られています。そしてまたしてもナポレオン・ヒルは真理を悟ったかのように、エネルギーは変化はするが消滅はしないと語ります。死は単なるエネルギーの変化だとまで語ります。顕在意識が現状をネガティブな状況であると思考するならば、感情とセットでアカシックに記録されているので当然不安になります。そしてまたアカシックに記録されネガティブの量が増え強化されてしまいます。心(潜在意識)にコントロールされてしまいます。顕在意識でこのことを認識して自由意志でネガティブな連鎖を断ち切ることができるかどうかです。
ネガティブな記録もエネルギーの一種ですので変換することができるかもしれないとも思い始めました。顕在意識でポジティブに変換することが出来れば、そしてそのエネルギーが強ければ、潜在意識の中で変化が起きるのかもしれません。
失敗を覆い隠すために言い訳をすることは、暇つぶしでしかない。この言い訳こそ、致命的なのだ。言い訳をしたがる習性は、習慣に深く根づいたものである。だから、それを克服するのは難しい。
人生というものは、チェス・ゲームのようなものである。そして、対戦相手は時間なのだ。もしあなたがためらっていたら、相手はどんどん先へ進んでしまう。あなたの駒はすっかり取り払われてしまうだろう。あなたが戦っている相手は、決して優柔不断ではないのた。
習慣とは潜在意識(自己バイアス)のオートパイロットによる無意識的な行動のことです。習慣を変えるには自己バイアスの書き換えが必要です。そのためには自分なりに「引き寄せの法則」という真理を理解しを心底信じられるようになってはじめて顕在意識でコントロールできるようになると思います。
個人感想
さて、とても長かったですが「思考は現実化する」もようやく読み終えることができました。私は今ではこの本に書かれているノウハウは有効だと思います。やはり「原因と結果の法則」で再三語られていた通り、まずは自らの手で「引き寄せの法則」が真理であることが腑に落ちなければならないと思います。改めてナポレオン・ヒルが科学的な例も挙げていたことに驚きました。最初に読んだときは私の脳幹網様体賦活系(RAS)が科学的な説に意識が向いていなかったのでフィルターにかからなかったのでしょう。個人的な見解ですが、自己啓発本、成功哲学本、スピリチュアル本で語られていることには論理的な根拠が乏しく、精神論的に受け取られてしまう可能性が高いと思います。やはり人間の思考は左脳の論理脳でも納得しないと腑に落ちないのではないかと思います。左脳と右脳の理解が一致して初めて深く理解できるのではないかと思います。私はここ数年の科学系の本から得た知識が触媒となって、数十年前から読んできた自己啓発本と成功哲学本で語られていたことと、スピリチュアル本が語っていたことが結びつきました。
「富を引き寄せる科学的法則」と「イット・ワークス」、そしてこの「思考は現実化する」で教えてもらったノウハウに効果があることは認めますので、改めてこれから実践して検証してみようと思います。
ナポレオン・ヒルが本当にカーネギーと会ったのか?著名人を紹介してもらったのかについて疑惑があるようです。
また、ナポレオン・ヒルもきっと「原因と結果の法則」、「富を引き寄せる科学的法則」、「イット・ワークス」の三冊を読んでいたのではないかと思います。